美肌治療にはさまざまな方法がありますが、中でも「I2PL」や「フォトフェイシャル」という施術名を耳にしたことがある方も多いでしょう。これらはいずれもお肌の悩みに光エネルギーでアプローチする人気の治療法です。しかし、名称が違うと何がどのように異なるのか、疑問に思う方も少なくありません。
この記事では、最新の美容皮膚科知識に基づき、I2PLとフォトフェイシャルの違いを徹底解説します。それぞれの仕組みや効果の違いから、施術時の痛みやダウンタイム、費用や通院回数、そしてどちらを選ぶべきかまで詳しく比較します。自分の肌悩みに合った施術を選ぶ参考に、ぜひ最後までお読みください。
目次
I2PLとフォトフェイシャルの違い
I2PLとフォトフェイシャルはいずれも肌に光を照射してシミやそばかす、赤ら顔などの改善を目指す治療ですが、その仕組みや特長には明確な違いがあります。それぞれがどのような機器・技術なのかを理解すると、両者の違いが見えてきます。まずはI2PLとフォトフェイシャルそれぞれの概要と特徴を確認しましょう。
I2PLとは?
I2PLとは、「Intense Pulsed Light(インテンス・パルス・ライト)」という光治療(IPL)の第二世代の機器を指します。デンマークのEllipse(エリプス)社が開発した医療用光治療器で、従来のIPLを進化させた最新型のフォト治療です。I2PL最大の特徴はデュアルフィルタ(2重フィルター)技術により治療に不要な波長の光をカットしている点です。
具体的には、紫外線領域にあたる400nm以下や肌の深部まで熱を残しやすい赤外線領域の950nm以上の波長をあらかじめ除去します。そのため、必要な波長の光だけを効率よく照射でき、少ないエネルギーでも高い効果が期待できます。
過剰な熱が抑えられることでやけどなどのリスクが低減され、施術時の痛みもマイルドになっています。従来のIPLで感じられがちだった強い熱感が軽減され、「従来のフォト治療より刺激が少ない」と言われることもあります。
こうした高度な選択照射により、I2PLは幅広い肌トラブルに対応できます。メラニンに吸収されやすい光を使ってシミ・そばかすを薄くしたり、ヘモグロビンに反応する光で赤ら顔(毛細血管拡張)を改善したりすることが可能です。
また、真皮層に熱刺激を与えてコラーゲン産生を促し、肌のハリや小じわの改善、毛穴の引き締め効果も期待できます。さらにI2PLは、医療用IPLの高い出力を活かして医療レーザー脱毛に近いレベルのムダ毛の処理も可能です。総合的に見て、I2PLは従来機より効果が高く安全性も高い「進化版IPL」といえるでしょう。
フォトフェイシャルとは?
フォトフェイシャルとは、ルミナス社が開発したIPL治療器を用いた光治療の名称で、IPLによる美肌治療全般を指す言葉として広く使われています。特に医療機関で提供されるIPL施術は「フォトフェイシャル」と呼ばれることが多く、シミやそばかす、赤ら顔など複数の肌悩みに一度の施術でアプローチできる点が特徴です。
IPLはカメラのフラッシュのような幅広い波長帯の光を発するため、肌表面から真皮まで様々な深さに届き、一度の照射で複数の肌トラブルに効果を発揮します。フォトフェイシャルでは治療目的に応じてフィルターを交換し、例えばシミには波長500~600nmの光、赤みには550~650nmの光、といったように適切な光を当て分けます。
1990年代末から2000年代にかけて登場したフォトフェイシャルは、美容皮膚科領域で広く普及し、現在(2025年)でもスタンダードな美肌治療法として用いられています。
最新のフォトフェイシャル機器(例:フォトフェイシャルM22など)は複数のフィルター搭載や冷却機能の強化など改良が重ねられ、従来以上に高い効果と安全性を備えています。
ただし基本的な原理としては光の波長帯全体を活用するためI2PLと比べると不要な波長による熱も含まれてしまう点は否めません。施術後に軽い赤みや、一時的にシミが濃く浮き上がる(マイクロクラスト)反応が出ることがありますが、これは古い角質や色素が排出される正常な過程です。
フォトフェイシャルは医師の管理下で適切に行えば安全性は高く、ダウンタイムも短いマイルドな治療と言えます。
以上を踏まえると、I2PLとフォトフェイシャルの違いは主に「使用する機器の世代・光の選択性」にあります。I2PLは特定波長に絞った第二世代IPLで効率と安全性を高めたもの、フォトフェイシャルは従来型IPLを用いた実績のある標準的な光治療とまとめられます。それでは次に、効果や痛みなど具体的な点を比較していきましょう。
I2PLとフォトフェイシャルの効果を比較
どちらの施術も「光による総合的な美肌ケア」であり、似たような肌悩みに用いられます。ただしI2PLは進化した技術ゆえに従来困難だった症状にもアプローチできる場合があります。
ここでは、代表的な効果についてI2PLとフォトフェイシャルでどのような違いがあるか見てみましょう。
シミ・そばかすへの効果
シミやそばかすなどメラニンが原因の色素トラブルに対して、I2PLもフォトフェイシャルも共に高い効果を発揮します。IPLの光はメラニンに吸収されると熱に変わり、その熱でメラニンを破壊するため、施術後しばらくして色素が表皮から排出されるようになります。
従来のフォトフェイシャルでも濃いシミ・そばかすは数回の施術でかなり薄くできますが、I2PLでは比較的薄いシミや広範なくすみも改善しやすいという利点があります。選択波長を狭め効率よくエネルギーを届けられるため、エネルギーのロスが少なく、フォトフェイシャルでは反応しにくかった軽度の色素沈着にも作用しやすいとされています。
その結果、I2PLでは少ない照射回数でも顔色全体が明るくなったと実感しやすい傾向があります。
ただし、いずれの施術も一度で全てのシミが消えるわけではなく、通常は複数回の施術が必要です。効果の出方には個人差がありますが、シミ治療に関してはI2PLの方がピンポイントな調整が可能な分、難しい症例への対応力が高いと言えるでしょう。
赤ら顔・ニキビ跡への効果
顔の赤み(いわゆる赤ら顔)やニキビ跡の赤みに対しても、両施術は光エネルギーで改善を促します。IPLの特定の波長は毛細血管内のヘモグロビンに吸収され、拡張した血管を収縮させる働きがあります。
フォトフェイシャルでも赤ら顔治療は可能ですが、I2PLは照射エネルギー効率の高さから頑固な赤みもより効果的に鎮静できると期待されています。実際に、なかなか治りにくい酒さ様皮膚炎や長年の赤ら顔がI2PL照射で改善した例も報告されています。
また、ニキビ自体やニキビ跡への効果も注目ポイントです。IPL光には皮脂腺の働きをおさえてニキビをできにくくする効果や、炎症後の赤みを軽減する効果があります。フォトフェイシャルでも施術後に肌質が整いニキビができにくくなったという声がありますが、I2PLではより狙った波長で赤色(ヘモグロビン)に反応する光を効率的に届けられるため、赤みの引きやすさで優れる面があります。
炎症が落ち着くことで、ニキビ跡の赤みも徐々に薄れていくでしょう。ただし、重度の炎症ニキビがある場合は光治療だけでなく内服薬など総合的な治療が必要になる点は覚えておきましょう。
肌質改善(ハリ・小じわ・毛穴)への効果
IPL治療は表皮のシミ取りだけでなく、真皮のコラーゲン産生を促してお肌のハリを高めたり、小じわや毛穴を目立ちにくくしたりする効果も期待できます。
フォトフェイシャルを受けた後、「化粧ノリが良くなった」「肌がワントーン明るくなり、手触りが滑らかになった」と感じる方は多くいます。これらは光照射の熱によるコラーゲン増生やターンオーバー促進によるもので、I2PL・フォトフェイシャル共通の美肌効果と言えます。
ではI2PLだからこそのメリットはあるのでしょうか。I2PLでは特定の波長にエネルギーを集中できる分、真皮層への刺激効率も高く、より少ない回数で肌全体の質感向上を実感しやすい可能性があります。特にI2PLは小じわや毛穴の開きの改善効果が顕著だとするクリニックもあります。
一方でフォトフェイシャルも回数を重ねれば確かなハリ改善効果が得られるため、劇的な差が出るわけではありません。両者とも施術直後から肌がしっとりし、キメが整う感じを得られる即時効果がありますが、ハリや小じわの本格的な改善には3~5回程度の継続治療が推奨されます。
I2PLとフォトフェイシャルの痛み・ダウンタイムの違い
美容医療を受ける際に気になるのが、施術時の痛みや施術後のダウンタイム(赤みや腫れなどが引くまでの期間)です。I2PLとフォトフェイシャルはいずれもメスを使わない非侵襲的な治療のため、強い痛みや長いダウンタイムは基本的に生じません。
ただし、細かな点で体感や反応に違いがあるので確認しておきましょう。
痛みや刺激の違い
フォトフェイシャルは「輪ゴムで弾かれたような軽い痛み」と表現されることが多く、施術中にパチンとした刺激と温かさを感じます。通常は麻酔の必要もなく我慢できる程度ですが、シミや毛が濃い部位では一瞬強めの痛みを感じることもあります。冷却ジェルを塗布しながら行うため、照射部位のほてりはある程度抑えられます。
I2PLの場合、痛みの感じ方はフォトフェイシャルと比べてさらにマイルドだと言われます。先述の通り無駄な波長をカットしているため、肌内部に余計な熱がこもりにくく、必要最低限のエネルギーで効果を出せることが理由です。
そのためクーリング(冷却)に頼らずとも施術できるほど刺激が少ないケースもあります。ただし痛みの感じ方は個人差があるため、敏感肌の方などはI2PLでもチクッとした刺激を感じることはあります。
どちらの施術も強い痛みではありませんが、痛みに不安がある場合は事前にテスト照射をお願いしたり、希望すれば表面麻酔を使用できるクリニックもあります。
ダウンタイム・副作用の違い
フォトフェイシャルもI2PLも、施術後のダウンタイムはほとんどありません。施術直後に顔がほんのり赤くなる人がいますが、数時間~遅くとも翌日には治まる軽微なものです。メイクも当日から可能なので、仕事や予定の合間にも受けやすい施術と言えるでしょう。
副作用リスクについても、両者は非常に低いです。ただし強い日焼け直後の肌や、もともと色素沈着を起こしやすい肌質では、稀にIPL照射によって炎症後色素沈着(施術部位が茶色くくすむ現象)が起こることがあります。
I2PLでは肌ダメージとなる波長を極力除去しているため、従来型IPLよりも色素沈着や火傷のリスクがさらに低減されています。実際、I2PLの登場により「光治療=火傷の心配」という懸念は大幅に減ったと言われます。
一方で、フォトフェイシャルも適切な設定で行えば安全性は高く、深刻な副作用は滅多に起こりません。どちらの場合も、施術後しばらくは紫外線対策を徹底し、刺激の強いスキンケアを避けることで、トラブル発生の可能性をさらに下げることができます。
I2PLとフォトフェイシャルの料金・施術回数の違い
効果や痛みの違いも気になりますが、「結局どちらがどのくらい費用がかかるの?」という点も大切です。また、理想の肌状態にするには何回くらい施術を受ければ良いのかも知っておきたいポイントでしょう。
ここでは料金の相場感と、必要な施術回数・通院頻度について両者の一般的な違いを説明します。
施術費用の相場
フォトフェイシャルとI2PLの費用は、それぞれ施術を受けるクリニックや照射範囲によって幅がありますが、おおよその相場は似通っています。医療機関で受ける場合、1回あたり顔全体で2~3万円前後と考えておくと良いでしょう。I2PLだから大幅に高額というわけではなく、最新機器を導入しているクリニックでもほぼ同程度の料金設定が多いようです。
ただしクリニックによっては初診料・再診料や麻酔クリーム代などが別途かかる場合もあるため、カウンセリング時に総額を確認しておくことをおすすめします。
一方、エステサロンなどで提供される「光フェイシャル」のようなメニューは、医療機関より安価なことがあります。例えば1回1万円以下という設定もありますが、サロンのIPL機器は出力が医療用より低く抑えられているため効果もマイルドです。根本的なシミ治療や大きな効果を求めるなら、やはり医療用のフォトフェイシャルやI2PLを選ぶ方が確実でしょう。
費用を抑えたい場合は回数コース契約による割引や、クリニックのキャンペーン情報をチェックするのもポイントです。
通院頻度と必要回数
フォトフェイシャル・I2PLいずれも1回の施術でも肌状態の改善を感じられることがありますが、理想的な効果を得るには複数回の施術を前提に計画しましょう。一般的には3~5回程度、肌悩みが深刻な場合は5回以上の継続施術が推奨されます。
施術間隔は肌の回復を待ってからとなるため、通常は3~4週間に1回のペースで通院します。
I2PLは効率が良いためやや少ない回数でも効果を実感しやすいと言われます。例えばシミ治療なら、フォトフェイシャルでは5回必要だったケースがI2PLでは3~4回で済むこともあるようです。ただし最終的な仕上がりレベルを高めるには、結局どちらも複数回の丁寧な施術が重要です。
途中で満足してもメンテナンス目的で施術を続けることで、美肌効果を安定して維持できます。施術者と相談しながら、自分に合った通院計画を立てることが大切です。
I2PLとフォトフェイシャルはどちらがおすすめ?選び方のポイント
ここまで比較してきたように、I2PLとフォトフェイシャルはいずれも魅力的な美肌治療です。それでは最終的に「自分にはどちらが合っているのか」を判断するためのポイントを確認しましょう。悩みの種類や優先したい点によって選び方のヒントが見えてきます。
悩みに応じた施術の選び方
基本的に、I2PLもフォトフェイシャルも対応できる悩みは大きく変わりません。そのため、どちらか一方しか効果がないというケースは稀です。その上で違いを考えると、より最新技術で効率よく治療したい方、安全性を最重視したい方にはI2PLが向いていると言えるでしょう。
I2PLはフィルターにより余計な光を排除しているため、肌への負担を抑えつつ効率的に施術を受けたい人に適しています。過去にフォトフェイシャルを受けて「熱さが気になった」という人が、I2PLでは快適に感じたという声もあります。
一方、フォトフェイシャルは長年の実績があり、多くのクリニックで採用されている標準治療です。信頼性という点では折り紙付きで、症例数も豊富なため安心感があります。特に軽い肌悩みのメンテナンスや、美容医療が初めての方にはフォトフェイシャルから試してみるのも良いでしょう。
一部の症状(肝斑など)では強い光刺激が逆効果になることがありますが、この点も医師が適切に判断してフォトフェイシャル以外の治療を提案してくれるはずです。迷った場合は予算や通いやすさも考慮しつつ、カウンセリングで自分の肌状態に合った方を提案してもらうのが確実です。
施術を受ける際の注意点
最後に、I2PLでもフォトフェイシャルでも共通する注意点を押さえておきましょう。施術効果を最大限に引き出し、トラブルを防ぐために大切なポイントです。
- 施術当日は入浴や飲酒など体を温める行為は控え、照射部位を清潔に保ちましょう。
- 照射後の肌は紫外線に対して敏感になるため、日焼け止めの使用や帽子・日傘で十分なUV対策を行ってください。
- 赤みやほてり感が強い場合は、濡れタオルで軽く冷やすなどして様子を見ましょう。翌日以降も強い炎症が引かない場合は施術を受けたクリニックに連絡してください。
- 美肌効果を持続するには定期的なケアが重要です。施術直後の綺麗な肌を保つため、保湿ケアや生活習慣の見直しにも取り組むと良いでしょう。
また、I2PLとフォトフェイシャルのどちらを選ぶ場合でも、信頼できる医療機関で医師の診察を受けた上で施術を受けることが大前提です。肌質や悩みに応じて最適な治療は異なります。しっかりカウンセリングを受け、自分の希望や不安も伝えながら、納得のいく施術プランを立ててください。
まとめ
I2PLとフォトフェイシャルの違いについて、仕組みから効果、安全性、費用面まで詳しく比較しました。両者とも光を使った優れた美肌治療であり、シミ・そばかす、赤ら顔、毛穴改善など幅広い悩みに対応します。
大きな違いは使用機器の世代と光エネルギーの効率性にあります。I2PLは第二世代IPLとして無駄な波長をカットし、安全かつ効率よくエネルギーを届けられる点で優れています。一方のフォトフェイシャルも長年の実績と安定した効果があり、現在でも美容クリニックの定番メニューです。
「どちらが自分に向いているか」は肌状態や目的によって異なりますので、本記事の内容を参考にしながら専門医に相談してみてください。
適切な施術を選べば、きっと理想の明るくハリのある肌に近づけることでしょう。あなたに最適な美肌ケアで、自信あふれる素肌を手に入れてください。